可南さらさ「キスマーク」(「移り香」の番外編同人誌)を読む。
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こちらは本編の「移り香」発行の前(2008)に出ていたそうで、
今回の本編発行に合わせて再販されたとのこと。
あとがきが差し替えられているようだ。
表紙は…、陵クミコの幻のメガネの要だー!
メガネ萌えの私にとっては…ふ、いいわぁw
でもそれ以上にイイのは、タイトルページ(標題紙)の小さなカット。
要の肩口に頭をのせた清司が壮絶に色っぽい。くるー!
「キスマーク」は清司視点。
カメラマンの清司(せいじ)は、ここのところあまり機嫌が良くない。
お互いに多忙すぎて、実兄であり最愛の恋人、要(かなめ)との
逢瀬の時間が思う様にとれないからだ。
そんな折、久しぶりに要の来訪に喜ぶ清司だったが、
要が部屋に仕事を持ち込み、用意した食事も後回しにする態度に拗ね、
ついつい意地の悪い言動をしてしまい、要を激怒させてしまう…。
数日後、ふたりの仲を知るモデルのメグから、
要と一緒にランチに行った際、自分の写真集を買ってくれたお礼に
サインと「キスマーク」をつけてあげた事を聞いた清司は、
憤り動揺して要の家に駆けつける……。
……
清司、いっそう要にメロメロダメダメになってるw
現在のふたりの関係は、勿論「恋人同士」なんだけど、
基本の基本、兄弟という間柄はどうしても変わる事は無い。
それ故ふたりの会話も兄、弟の立場で物を言い、ふるまう部分も多々あり…。
それがとても複雑で面白かったりする。
弟=年下攻めなんだけど、清司の甘え方もそんな部分が出ていて、
一見不遜な態度なのになんだか可愛い。
独占欲、所有物の証である「キスマーク」。(主に男性がつけるそうだ)
いってみればただの皮膚の内出血であるキスマークごときに、
清司の心情は乱れまくり、振り回される。
うーん、態度は強引だし勝手なんだけど、やっぱり可愛い。
結果的には、要が清司を甘やかし過ぎるのも仕方が無いと思える。
対外的には、実力も勢いもあるカメラマンで、
社会的にも評価も高く、見目麗しく、クールで要領もよく立ち回る。
対「要」的には、情熱的で強引ながら、脆い宝物を扱う様に接したりする。
そういう部分が表面…行動に思いっきり出ていながら、
その実、内面では…
この兄を犯して死ねといわれたら、それで死んでもいいと考えていた
背徳的な関係に、罪悪感だけでなくほの暗い満足感を感じている
のが、清司だ。
この辺…、普通の恋愛では考えもしないような思考をしてしまったり、
不必要なほどの葛藤を繰り返したりしてしまうんだろうなー、と感じてしまう。
後ろ暗い充足感、ほの暗い満足感って…人の心の機微って単純でないのな。
一生手放す事の出来ない「禁忌」を抱えてる明暗の恋心が、
「移り香」とその続編の読みどころだと思う。
もう一本、より以前に書かれたのが「残り香」
時系列的にも本編直後ら辺か。こちらは要視点。
……
こちらの話も、多忙で逢瀬の時間も取れないことに不満を持つ清司に、
要が朝から好き勝手に弄られてしまう話。(元も子もない説明文w)
付き合い始めは特に、共有する時間が相互理解を深めるのだよね。
でも、ふたりは元々兄弟だというところがあって、
その辺吹っ飛ばし気味というか…照れがあるのか、
なかなか甘々な雰囲気にならないのか…。
それでも清司を心情的に不安にさせたくないあまり、
朝から情事に興じてしまう…というか流されてしまう要が優しい。
心情的にはお互いにどっぷり堕ちているので、心配は要らないようだがね。
とはいいつつ…。
物語には波乱が付き物だから、続編ではどんな展開が待っているのやら。
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